ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)は、信号処理演算に特化したマイクロプロセッサの一種である。信号処理アルゴリズムの実現においては高速なリアルタイム処理が必要な場合が多いため、一般的な機器組み込み用のマイコンでは性能が不足し、かと言ってPentiumのような汎用プロセッサで実現すると価格対性能比が悪い・消費電力が大きいため電池動作を前提とする携帯機器には適さないなどの問題がある。
そのため、積和演算など信号処理特有の演算を高速に実行可能なマイクロプロセッサとしてDSPが利用されている。現在のDSPは、低消費電力で非常に安価なタイプ(固定小数点型が多い)と、新しい信号処理アルゴリズムをいち早く実装するのに向いた高性能タイプ(浮動小数点型が多い)とに二極分化しており、ディジタル機器を実装する際に欠かせないキーデバイスとなっている。今回の実験では、後者のタイプのDSPを扱う。
DSPに実装するプログラムは、組み込みプログラムと呼ばれ、次のような特徴がある。
Pentiumに代表されるパソコン用のプロセッサのように、不特定のアプリケーションプログラムを実行する環境としてではなく、特定の電子機器等に組み込まれて、専用の処理をするために使われる。システム全体として省電力・低コストが要求される。
1サンプル周期内に処理を終了するために、プログラムの処理速度が高いことが要求される。 組み込みプログラミングは、デバイスドライバの開発などと並んで、計算機の動作原理に対する深い理解とプログラミングスキルが要求されるプロフェショナルな分野の一つである。
C6711DSKは、製品開発のためにDSPの評価を行う技術者や、DSPプログラミングについて学びたい人などのためにTI社が販売しているDSPボードおよび開発環境のセットである。このボードの主な仕様を以下に示す。
このボードに搭載されているDSPチップであるC6711のチップ内部の構成を図1に示す。
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TMS320C6711は、VLIW(Very Large Instruction Word)型アーキテクチャを有する32bit浮動小数点DSPであり、以下の特徴を有する。